「俺のおかげで付き合えたんだからこれくらい許せよな〜!」


それだけ言い残して、岸本くんは逃げるように走り去っていく。

凛くんがこちらに手を伸ばし「お前、隙ありすぎ」と言いながら頬を擦られた。


……もしかしてこれは、世にいう“ヤキモチ”ってやつなのでは。

そっか、私凛くんの彼女だもんね。妬いてもらえる立場だったんだ。


彼女って、すごい。


「大丈夫!何があっても凛くん一筋だから!」


ようやく通じ合えたんだもん。

今更他の異性に靡いたりなんかしないよ。


すると凛くんは軽い微笑を浮かべた。


「バカ正直。そーゆーとこが可愛いんだけど」


頭を優しく撫でられる。

ふわふわして、くらくらして、おかしくなりそうなほど胸がいっぱいになった。