・ ・ * 夢かと思った。 でも、間違いなく凛くんの声だった。 “俺、花野井のことが好きだよ” 確かめるように何度も何度も台詞をなぞった。 好きって。凛くんが、私を。 待ってろって言われたけど、こんなところでじっとなんかしてられないよ。 今すぐ会いに行かなきゃ………! 「待って!」 走り出そうとした瞬間、岸本くんに手を掴まれた。 振り返るとやけに真剣な顔をしていたから余計に驚いた。 「ど、どうしたの?」