夢かと思った。

でも、間違いなく凛くんの声だった。


“俺、花野井のことが好きだよ”


確かめるように何度も何度も台詞をなぞった。

好きって。凛くんが、私を。


待ってろって言われたけど、こんなところでじっとなんかしてられないよ。

今すぐ会いに行かなきゃ………!


「待って!」


走り出そうとした瞬間、岸本くんに手を掴まれた。

振り返るとやけに真剣な顔をしていたから余計に驚いた。


「ど、どうしたの?」