「特別な子を作らず全員を遠ざければ、誰も傷つけることはないと……本気でそう思っていました」


きっと、俺の決めた選択は間違っていた。


別の方法を選んでいればもっと違う未来があったかもしれない。

けれど、あの頃の俺は誰かのためと言いながら自分のことしか見えてなかった。


女嫌いなのに優しいところが好きだとあいつは言っていたが見当違いもいいところ。

優しさなんて……これっぽっちも持ち合わせていない。


ずっと最低で、ずっと空っぽなやつだったんだよ。


だからこそ、


「もう二度と同じ過ちを繰り返すわけにはいかなかった」


それなのに、


「どうしようもないほどあの子に─────恋をしていた」


傷ついてでも、傷つけてでも、手に入れたいものがあると知った。


今度こそ絶対に離さない。



「俺、花野井のことが好きだよ」