ボリュームを調整しながら乱れた呼吸を整える。


言いたいことを全部ぶちまけたら花野井のところに戻ろう。

あいつはずっと………俺を待っていてくれたんだから。


「全校生徒の皆さん、相崎凛です。突然すみません。帰る前に俺の話を聞いてください」


物音ひとつしない空間に俺の声だけが響く。

この放送は花野井にも……届いているだろうか。


「………俺はずっと女の子を避けて過ごしてきました。中学のときに付き合っていた彼女を深く傷つけてしまい、それを今でも後悔しているからです」


脳裏に真央の顔がチラついた。


「自分で言うのも難だが俺はモテるし、俺と付き合ったら他の子達から妬まれ、酷い嫌がらせを受けることになります」


あれだけ一緒に居たはずなのに、記憶の中の真央はいつだって泣いている。


俺の知らないところで悩み苦しんだからこそ、あの結末を選んだんだと思う。


今更許してほしいわけじゃない。

一生消えない傷跡が今もここに残っているから。