「そこでちょっと待ってろ」

「えっ」


気がついたら走り出していた。


もうこの気持ちを止めることなんてできない。

俺にだって、自分の気持ち以上に勝ってるものがあるんだよ。


花野井がこれから先もずっと俺の隣で笑ってくれる。そんな未来がほしい。


願いと欲望を絡ませながら向かった場所は放送室。

鍵の掛かっていない扉を開けて、マイクのスイッチを探した。


あった。これか。


────ビーッ!

スイッチを押したら嫌な音が鳴り出した。


どうやらボリュームが最大設定にされていたらしい。

ったく……最後に使ったやつ誰だよ。