どんなに冷たく背を向けても花野井の気持ちが離れることはなかった。


いつも全力で、いつも真っ直ぐで。

俺が無くしてしまったものを彼女は全て持っていた。


だから、ストレートに気持ちをぶつけてくる花野井が羨ましかったし、俺の名前を呼んでくれるのが…………本当はずっと、嬉しかった。


花野井の隣は騒がしいのに心地いい。


ただ、それだけだったのに。




『───とにかくやるったらやるの!』


ある日の放課後、とある光景を目撃した。


俺の靴箱付近にいるのは昼間振った名前も知らない女子生徒とその他数人。


仕返しにでも来たんだろう。

恨まれても仕方ない自覚はある。


こんなの当然の報いだと思ってたし、正直どうだってよかった。


………どうだって、よかったのに。