初めは迷惑なやつだと思っていた。

他のやつらと同じように突き放しても平気な顔して笑いかけてくるから、花野井のことは正直苦手だった。


俺に拘る理由なんてどうせ顔くらいなんだから、さっさと諦めればいいのに。


自分の容姿が人より秀でている自覚はあった。

むしろこれだけ騒がれてたら嫌でも気づく。


だから近づいてくるやつらは全員俺の顔にしか興味がない。

本当の俺なんて誰も見てないし、知ろうとも思われない。


不覚ではあったが俺にとっては都合のいい認識。

これで、もう二度と誰にも踏み込まれなくて済む。

花野井だってそのうち飽きて離れるだろうと高を括っていた。


───けれど、どうやら俺の読みは甘かったらしい。