言葉の意味を理解する間も無く、凛くんは私たちに背を向けて走り出していた。


岸本くんと顔を見合わせる。


「あいつ急にどうしたんだ……」


どうやら今の状況に追いつけていないのは岸本くんも同じらしい。


待ってろって言ってたけど………。

ここで?いつまで?


頭を悩ませた時間はほんの数分程度だったと思う。


────ビーッ!

と、校内のスピーカーから嫌な音が聞こえてビクリと体を震わせた。


っ…………こんなときになに!?


誰かが放送室でイタズラでもしているのかなんなのか。

変なタイミングで揺さぶってこないでほしい。


もうっ、誰がこんなこと────。




「全校生徒の皆さん、相崎凛です」



スピーカーから聞こえたのは、間違いなく大好きな人の声だった。