「俺じゃ花野井を……傷つけることしかできない」


「だったら一生守るくらいの覚悟見せろよ!お前みたいなモテ体質受け止められる子なんて、花野井ちゃんくらいしかいないだろ!」


岸本くんの言葉は私の胸にもスッと落ちた。


凛くんが私を拒む理由は知っている。

だからこそ、認めて欲しくてずっと走り続けてきた。

真っ直ぐに気持ちを伝えれば、いつか届く日がくると信じていたから。


「お前は誰のために臆病になってんだよ」


そう言って、岸本くんは胸元から手を離した。

ほんのわずかな静寂。


岸本くんにここまで言ってもらったんだから、怖気付いてる暇はない。


「凛くん」


名前を呼んで、凛くんに一歩近づいた。