「今のはその……違うの!」

「違うって、なにが?」


「私、凛くんにクッキー渡したくて……」


“練習してたんだよ”


そう言って、渡したかったのに。

言葉にはできなかった。


ようやく振り向いてくれた凛くんの瞳は恐ろしいくらい冷え切っていて、それ以上喋るなと……言われているような気がした。


「いらねーよ」


持っていたはずのクッキーが弾き飛んで落下した。

蔑むような視線を向けられ「誰からも受け取らないって言ったろ」と突き放される。


「でも、私は………!」


「瑛斗と花野井、結構お似合いじゃん」


凛くんの声が痛いくらい頭に響いた。