「謝らないでください！林田さんが私を心配してくれた気持ちは嘘じゃないってわかってますから」


誰よりも傷つけられる辛さを知ってる林田さんだからこそ、あんな言い方になってしまったんだと思う。

私は大丈夫だってこと、ちゃんと届いて欲しかった。


「………あんな酷いこと言われたのに許せるなんて、あなたも相当なお人好しなんだね」

「そ、そうですか？」

「まぁ………だからこそ凛には花野井さんみたいな人が必要なのかも」


私みたいな、人……？


「我が身可愛さに好きな人裏切って、別の男に縋り付くような女じゃだめだからさ」


────“真央が浮気して他の男に乗り換えたんだよ”


教えてもらった過去が脳裏に浮かんだ。


たしかに林田さんの選択は間違っていたかもしれない。

でも、本当の正しさなんて………誰にもわからないと思った。


「浮気したやつが今更何語ってんだって思うかもしれないけど………凛のこと、諦めないでくれてありがとう」


そう言って、林田さんは穏やかに微笑んだ。