「まさか相崎にもあげるつもり?」

「うん。だから今年はクッキーにしようかと思ったところ」

「へぇ……」


もの言いたげな目で私を見る皐月。

不穏な空気を醸し出してから大袈裟にため息を吐かれた。


「まぁ、静香が決めたことなら止めないけどさぁ………ほんと粘り強いというかなんというか」

「えへへ、そうかな〜」

「別に褒めてないんだけど」


やれやれといったふうに皐月は肩をすくめた。


せっかく凛くんに近づける口実ができるんだもん。大いに利用させてもらわないとね。


本命チョコを渡してもう一度好きだと伝えたら、今度こそ振り向いてくれるかな。