「出たよ」

バッターボックスに入った中村は思わず口にした。

相手チームのキャッチャーは何のことか分からずにキョトンとしていた。


(中村くん…)

様子の変化に気付いた一人がマネージャー崎本に声を掛けた。


「オイ、崎本お前大丈夫か?」


「四宮くん…私…私!」


「キン!!」


-二人のやり取りを引き裂くかのような乾いた金属音が球場に響いた-