「わたしダンスのセンスまるっきりないみたいでさぁー!団長に怒られちゃって…利世は出来てるから、付き合ってくれてるの!」
自分の中で精一杯、明るい声で言ったつもりだった。
「だから凹んでるんですね」
なのに、そうあっさりと見破られてしまった。
「へ、凹んでなんかないよ〜!」
「嘘」
「うっ…」
誤魔化そうと思ったけれど、普段から顔に出やすいとか言われるタイプのわたし。
どうやらバレバレのようで…
「センスないのは…まぁしょうがないとしてもさー、今利世にも迷惑かけちゃっててさ…」
ナヨナヨしょぼんとしたわたしの話を真悠くんは黙って聞いてくれてくれていたけれど、話し終わってもずっと黙ったまま。
「ご、ごめん!つまんないよねこんな話…」
様子を伺って恐る恐る謝ると、
「いや、そうじゃなくて。先輩もそんなふうに凹むんだなと思って」
そう真悠くんは言った。
真悠くんの中でわたしはどんな奴に見えているんだろう。
「あるよ〜凹むことくらい…」
「いやそりゃそうなんですけど…」
そう言いながら真悠くんは少し怪訝そうな顔をした後、カバンをゴソゴソと漁って、取り出した物をわたしに差し出した。