ポジティブなわたしとネガティブなわたしがグルグルと行き来する。



「いや!やるしかないじゃんか茉乃!!なんだお前は甘ったれたこと言ってぇ!!!」



やっとポジティブな茉乃ちゃんが完全に顔を出し、ベンチから立ち上がってそう言った瞬間だった。



「先輩うるさいです」



え。


なんだか聞き覚えのありすぎる声だなぁと思いながら振り向くと、そこには真悠くんの姿があった。



「ええええ!なんで真悠くん!?」



真悠くんはもう帰っているはずだ。だって応援団の練習前、帰る素振りを見せていたじゃないか。



「いろいろ用があったんです」



おう。そうか。これは告白ってところか??


真悠くんはいつもなんだかんだ素直に話してくれるのだ。例えば、"日直だった"とか、"職員室に行っていた"とか。


それを今日は"いろいろ"と誤魔化した。怪しい。


とは言え、練習してる間ずっと告白されていたというのも長すぎるとは思う。相当な人数に告白されたのか、1人にずっと引き止められていたのか。



「先輩は練習ですか?」



告白の件は正直なんだっていい。何があったってわたしは真悠くんのこと諦めないもん。


そう頭の中で反論しつつ真悠くんの質問に答える。



「そう!利世に教えてもらってるの」



わたしがそう言うと真悠くんは少し不思議そうな顔をして言った。



「瑞季が体育館で練習って言ってましたけど」



それは今のわたしには痛い一言だった。真悠くんと話したくない、そう思ってしまうほど。