「待ってってばー!」



わたしが必死に追いかけながらそう訴えても2人は止まってはくれない。



「今走るハメになってんの誰のせいだと思ってんだよ!」



利世にはそう言われてしまった。


瑞季くんはわたしたちのやりとりに爆笑しながら走っている。



「だとしても!か弱い女の子を気遣うジェントルマンになれないわけ!?」


「はぁ?か弱い女の子?そんなのどこにいんだよ!」


「ここにいるでしょ!ここに!」



そんなくだらない言い合いをしながらもなんとか体育館へたどり着いた。


着いた時間は16時ピッタリである。うん。ここまで頑張ったわたしを褒めて欲しいよ。



「あれ?利世?茉乃?」



なんだか耳にタコができそうな程聞き慣れた声が聞こえてきた。


声のした方に顔を向けると



「千葉!」



そこには千葉がいた。



「千葉も応援団なの?」


「そーそー!」



うちの学校の体育祭は、紅組、青組、黄色組に分かれる。おそらく千葉は紅組なのだろう。


何故わかったのかって?千葉が赤いハチマキを頭に巻いているからだ。


早くもやる気全開という訳か。さすが千葉。



「利世たち何組?」


「黄色」



利世が答えると、絶対負けねぇーからな!なんてガッツポーズしてきた千葉。


かと思えば少し不思議そうな顔をして



「つか、意外だな!お前らが応援団なんて!放課後残ったり朝早いの嫌いだろ?」



さすが千葉だよ。わたしたちのことよく分かってる。