「ごめん茉乃せんぱいお待たせ!」



わたしにそう言った瑞季くんは、利世の顔を見るなりハッとしたような顔をして言った。



「……あの、俺、ご一緒して大丈夫ですか?」



利世とわたしの顔を交互に見ながらそう言った瑞季くんは珍しく敬語で。少なからず、利世に少し気を遣っているらしい。



「大丈夫だよ!さっき利世にも言ったから!」



わたしがそう答えると瑞季くんはいつも通りニカっと笑って言った。



「ありがとうございます!」



そしてわたしの隣に並んだ。



「っていうか今何時??」



さっき55分だったんだ。なかなかやばいのではないかと思って廊下にある時計を見ると、針は59分をさしている…?



「え、やばくない…?」


「やばいね…」



わたしと瑞季くんが続けてそう言うけれど、利世は動揺することもなく落ち着いている。


かと思いきや、



「走るぞ」



そう一言告げて走り出した利世。



「え!待ってよ走るの!?」



意外だ。意外すぎる。利世なら、別に遅れてもよくね?みたいな感じかと思ったのに。



「遅れて行って、なんか面倒な役割とかになったらどうすんだよ!」



あ、そういうことかい。


なんてったって、寝てる間に応援団にさせられてるからね、利世は。



「そうだけど!ちょっと待ってよ〜!」



利世も瑞季くんも男だ。それもスタイルのいい。


持ち前のそれはそれは長い足を存分に活かして颯爽と走っていく2人。


そんな2人に、女であり短足であるわたしが並べるはずもなく、ただただ追いかけるだけで精一杯。