そこで突然頭をコツンと叩かれた。


叩かれたと言ってもそんな強くないけど。ドアをノックするような感じ?


そのヘッドノックにつられて顔を向けるとそこには利世がいた。



「お前はいつまで話してんだ。もう時間だぞ」



そう言われて時計を見ると15時55分頃を示している。



「ほんとだ!」



まったく俺がいなかったら…とかぶつぶつ言いながらも、わたしにカバンを渡してくれた。


終礼が終わってすぐに手ぶらでここに来たわたし。


教室に置いたままだったわたしの荷物をどうやら持ってきてくれたようだ。



「ありがと利世!」



そんななんだかんだ優男の利世にお礼を言って、真悠くんとはお別れだ。名残惜しい気持ちはあるのだが。



「真悠くん、また明日ね!」


「また」



一言そう言った真悠くんはわたしと利世にぺこりとお辞儀をして教室に入っていった。


そんな真悠くんの大好きな背中を見送って、わたしは利世に聞いた。



「ねぇ利世、応援団の子がもう1人いるから一緒に行っていい?」


「おう」



快く承諾してくれた利世にお礼を言って、瑞季くんを呼ぶ。



「瑞季くんまだー?早く行こー!」


「ちょっと待って、茉乃せんぱい!」



そう言いながら筆箱やら何やらを急いでカバンに詰め込んでいる瑞季くん。



「ハルじゃーな!」



終わると真悠くんにバイバイして小走りで廊下に出てきた。