「それ早く帰れってこと!?なんでそんなこと言うの〜!いくらなんでもひどいよぉ〜!!」


「いや、酷いとかじゃなくて。見てくださいよ誰もいないから」



本当だ。真悠くんの後ろに見える教室にはもう生徒はほとんどいない。でも!誰もいないは大袈裟だよ真悠くん!



「誰もってことないじゃん!ほら!瑞季くんだってまだいるもん!」


「あいつ応援団なんで」



え、今なんて…



「え、瑞季くんって応援団なんだ!?」


「そうです」



おっ?応援団、利世は超〜やる気ないし、他のクラスの応援団とか知ってる人かわからないし。でも学年は違えど、瑞季くんがいるなら少し楽しく応援団ができる気がする。



「そうなんだ!ねぇ真悠くんのクラスって体育祭何組?」


「黄色です」


「あぁ〜、きい…黄色?黄色なの!?」



興奮ぎみに質問攻めのわたしに真悠はどこまでも冷静だ。



「はい」


「わたしも!わたしも黄色!!」



瑞季くんがわたしと同じ応援団で、しかも真悠くんとわたしが同じ黄色組ということにテンションが急上昇したわたし。


だってだって!同じ組だと体育祭で同じエリアにいられるし、堂々と真悠くんのことを応援できるし、何より瑞季くんと応援団で一緒だから、真悠くんと接する機会が増えるじゃないか。真悠くんと瑞季くんすっごく仲良いからね。


やばいにやける。



「瑞季くーん!」


「ん?どしたのー?」



まだ教室にいる瑞季くんを呼ぶと顔をこっちに向ける。



「わたしも一緒!黄色組だし、応援団!!」


「おお!まじ!?一緒だ〜!!」



瑞季くんらしい人懐っこい笑顔で駆け寄ってきたかと思うとハイタッチまでしてくれた。さすが瑞季くん。わたしが求めていた反応をしてくれる。


真悠くんはクールな表情を崩さないけれど。