「先輩?」



1人で女子力の低さに嘆いていると、真悠くんが少し下を向いたわたしの顔を覗き込んでわたしを呼んだ。


いや、そういうとこずるいよね。なにその顔面で人の顔を覗き込んでいるのだろうか。自分の顔がどれだけの人の心臓を狂わせているか自覚した方がいい。



「真悠くん!わたし自分磨きして、女子力上げてから出直した方がいいかな!?」


「なんですか突然」



っていうか真悠くんに会ってなかったあの1週間でなにか少しでも自分を磨けなかったのか茉乃!なんで磨こうと思わなかったんだ!そうしたら綺麗になったわたしを見て惚れ直したかもしれないのに〜〜!

※惚れ直す以前に惚れていません。



ぐるぐる考えを巡らせて、自分の失態に落ち込んでいると真悠くんが無愛想に言った。



「…別にいいんじゃないですか」


「え?」


「先輩は女子力とか、別に」



え、それってどういう…


女子力なくてもわたしを好きになってくれる見込みはあるの!?真悠くん!?



「真悠くん!それってどういう意味…」


「先輩に女子力とか最初から求めてないですし、急に先輩に女子力が身についたら怖いです」



ひ、ひどい。ひどすぎる。


つまりなんなんだ。真悠くんはわたしをちゃんと女として見てくれてるの?え?見てくれてないからそんなことが言えるんだよね?きっと。


それだけでわたしの精神は相当なダメージを受けたというのに真悠くんからの毒は止まらない。



「それより先輩いつまでここにいるんですか」



はい、再起不能。わたしの精神お疲れさま。