「先輩」
「ん?」
「作れることになってよかったですね」
そう言ったとき、真悠くんはわたしがじいじの話をしたときと同じ、優しく笑ってくれていて。
「おじいさんのこと知った上で、そう伝えたかったので」
業務連絡だけで終わらせるんじゃなく、真悠くんの気持ちがちゃんと乗ってくれてることがわかってすごく嬉しくて
「そっか!ありがとう!!」
やっぱりどうしたって、わたしは真悠くんが好きなんだ。
「真悠くん!」
一旦自分の教室に戻ろうとした真悠くんだけど、わたしの呼びかけにまたこっちを振り返ってくれた。
「わたしやっぱり真悠くんが好きです!」
真悠くんが何かを言いかけようとして開いた口を見たけれど、断りの言葉なんて、そんなわかりきってることなんて聞きたくなくて、わたしはそれを遮った。
「わかってる!真悠くんがわたしのことそんなふうに思ってないってことくらい」
真悠くんは一瞬開いた口を閉じてわたしの次の言葉を待ってくれる。
「わかってるんだけど!でもわたしまた真悠くんのこと追いかける!」
胸を張ってはっきりとそう言ったわたしに、
「でも今後も好きにならないかもしれないですよ」
痛いくらいくっきりと冷たい棘を刺してきた。
「上等だよ!真悠くんにうるさいって言われようが迷惑って言われようが引かないからね!?覚悟しといて!!」
そのわたしの言葉を聞いた真悠くんにはもうさっきの優しい表情はなく、意地悪な表情をしていた。
1週間ぶりに見たその表情に、いつも以上に心をハート型にぶち抜かれたのは言うまでもなかった。