「へー」



俺の反応が予想外だったのか、少し間を置いて瑞季は俺に聞いた。



「へーって…お前何とも思わないのか？なんで今日は来ないんだろうとか気にならないのか？」



まったく気にならない、といえば確かに嘘になるだろう。


そうとはいっても、瑞季が期待しているようなこととはかけ離れているような気がする。


俺が言う"気になっている"の意味は、当たり前のように毎日起こっていたことが無くなったことに対して気になっているだけ。


きっとそれは人間として普通の感情で、それ以上の特別な感情はない。



「気になってないことはないけど、別にお前が思ってるようなことはねぇよ」



瑞季にそう伝えると、



「ははーん？ほんとかぁー？」



ニヤニヤしながらなんだか気色の悪い表情でこっちを見る瑞季。



「なんだよ。ほんとだよ」



それでもなお、瑞季のニヤニヤ緩む口元は直らない。



「お前、茉乃せんぱいが会いに来ないのは今日だけで、明日からまた会いに来ると思ってんだろ？」



そう言われたときは何を言っているのかと思った。



「今日だけじゃなくて、これからずっと茉乃せんぱいが会いに来ないとしても同じことが言えっかねぇ〜？」



そう、このときは。