「で、それがある日急に来なくなったら、ちょっと気にならない?」


「確かに気になっちゃうかも…」


「でしょ?今まで当たり前に起きてたこと、茉乃が毎日会いに来ることが急になくなったら成瀬くんも気になると思うんだよね」



胸を張ってにっこにこの紗枝に対してわたしには不安なことが…



「ほんとに…真悠くん気になってくれるのかな…?引かれてないかな…?今日ので引かれてたら、会いに来なくなって都合いいなって思わないかな…?」



真悠くんに引かれたらもうわたしの人生終わる…



「茉乃が会いに来なくなったことで、真悠くんが茉乃のこと気になるかどうかなんてわかんないけど、少なくとも今日のことで引いたりしてないでしょ」



サラッと当たり前のように言う紗枝だけど…どうしても不安は募る…



「ほんと…?ほんとに大丈夫かな…?」



わたしが恐る恐る聞くと、紗枝は表情を変えることなく言った。



「茉乃が好きになった人は、人の気持ちをそんな風に受け取るような人なの?じゃあなんで茉乃は成瀬くんのこと好きになったの」



紗枝のひとつひとつの言葉に、わたしの言葉は間違っているんだと思わせられる。



「わたしは全然成瀬くんと親しくなんてないけど、茉乃の話聞いてればわかるよ。茉乃が成瀬くんに対してすごい一生懸命だってことも、成瀬くんのことすっごい好きだってことも。成瀬くんはその茉乃の一生懸命な想いが伝わらないような人じゃないってことも」



大丈夫だと思わせてくれる。



「茉乃の想いを、大切にできないような人じゃないよ」



茉乃が1番よくわかってるでしょ?と紗枝は優しく笑った。