「だって今まで茉乃の告白をテキトーに流してきた成瀬くんにとって、今日の茉乃の告白はテキトーに流すわけにはいかない、そんな告白だったわけでしょ?それって、改めて茉乃を意識できるいい機会じゃん!」
………なるほど。
そういう考えもあるのか。さすが頭のいい美少女は違うね。
「その考えは……なかった」
「今までの茉乃の伝え方って、捉え方によっては冗談ぽくなっちゃうけど、今日のことで本気なんだなってわかってもらえるきっかけにもなるかもしれないし」
今までのわたしの気持ち、伝わってなかったっていう可能性は0じゃないってことか。それもそれでショック……
「でもあんな風に言ったの初めてだから、明日どんな顔して真悠くんに会えばいいのかわかんないよ…」
わたしがまた1つ悩みを打ち明けると紗枝はなんてことない顔で衝撃的な一言を言い放った。
「簡単よ。会いに行かなきゃいいの」
……んーと?紗枝ちゃん?それはつまり……
「諦めろってこと……?」
そんなの嫌だから、本当は聞きたくなんてないけど。
「なぁーに言ってんのよ!そんなこと誰も言ってないでしょー!その逆よ」
逆、とは…?
「……それってどういうこと?」
「例えば、茉乃の元へある男子から毎日電話が来てたとする」
「え!そんな青春的ミラクルがわたしに起こる!?」
「うん、例え話ね?」
あ、なるほど。例え話じゃない限り、わたしにそんな青春はないってことか。うん、そうだよね、わかってたよ、うん。