『だから言ったじゃない!もう〜!大丈夫?痛いとこない?』
お母さんは怒りながらも優しく心配してくれてたけど、わたしは自分が転んだことよりも、転んだ拍子に絵本を落としてしまったことがショックで。
じいじが買ってくれた絵本が中身も開いたまま水たまりに浮かんでいる。
『………じいじとまののえほん………』
ポロッと頬に流れた涙をお母さんが指で拭って、
『ティッシュあるから、これで絵本ふきふきしよう?それで、じいじにごめんなさいしに行こう?』
『ままぁ……』
『大丈夫。茉乃がちゃんと謝れば、じいじはわかってくれるよ?ね?』
お母さんの言葉にコクリと頷いて、ティッシュで絵本を拭いて、じいじの家に向かった。
『じいじ……』
『おお。茉乃、よくきたなぁ』
『じいじ……』
じいじの顔を見たら、さっき収まったはずの涙が復活してしまった。