「瑞季くん琴ちゃんと知り合い?」


「茉乃せんぱいこそ知り合いなんだね!」



多分、委員会でしか面識がないであろう真悠くんはぺこりと会釈して、琴ちゃんもそれに会釈を返していた。



「うん!昨日仲良くなった!」


「おぉ!そうなんだ!めっちゃタイムリーだね!」



瑞季くんってば先輩ともすぐに仲良くなっちゃうなんて、やっぱり瑞季くんはフレンドリーだなぁなんて思う。スっと懐に入ってくる感じがね、上手なんだよなぁ、なんて考えていると、



「ま、ま、茉乃ちゃん」



琴ちゃんがしどろもどろにわたしの名前を読んだのが聞こえた。



「ん?」



すごーく小さい声だったけど、しっかりわたしの耳には届いて返事をする。



「あ、いや、昨日呼んでって言われたのに呼べなかったから、呼んでみた、だけ……」



か、かわいい!!なんなんだこのかわいさは!



「なにそれ、嬉しいっ!かわいい〜〜!!!」



思わずぎゅっと抱きつくと、琴ちゃんはびっくりしながらも笑ってくれた。


琴ちゃんは下を向きがちで、誰かと話す度にかちこちに緊張しているみたいで、自分から笑うことはあまり多くはないけれど、こっちが笑って"嬉しい"を伝えれば、にこっと笑ってくれる。


琴ちゃんの笑顔かわいいなぁ。



「茉乃せんぱい、ハル行っちゃったけど…大丈夫?」


「え!?」



わたしと琴ちゃんが友情を育んでいる間にどうやら真悠くんは行ってしまったらしい。



「大丈夫じゃない!!いってくる!ごめんまたね琴ちゃん、瑞季くんありがと!」



この後わたしが真悠くんの元へとダッシュしたことは言うまでもない。