「わたしが普通に何気なーく傘忘れたって言っただけなのにぃ」
「うんうん」
「帰ろうとして下駄箱開けたらこの傘が入ってて〜、しかも何も言われてないんだよ〜!何も言わず、置くだけ置いて帰ったんだよぉ」
「あぁら!んまぁやらしい!」
さっき着替えろとかなんだかんだ言っていたお母さんはどこへやら、ノリノリで真悠くんとの恋物語を聞いている。
「かっこいいでしょ〜う?そーゆうところが!」
「かっこいいわねぇ〜昔のお父さんそっくり!」
ときめいたような顔で言うお母さん。
「え〜そぉなんだぁ〜!お母さんもまだまだ若いねぇ〜乙女だねぇ〜!」
「やっだ!若いだなんて大袈裟よ〜」
なんて言いながらわたしの肩をバシバシ叩くお母さんはどうやら満更でもなさそうだ。
それに比べてお父さんは、夜に仕事から帰ると、見覚えのない男子物の傘を見て、誰のだ!なんて大騒ぎしてたんだけどね。
ほんとに昔のお父さんは真悠くんそっくりだったの?って感じの慌てっぷりでした。