「ただいま〜」



家についたわたしはすぐにさしていた傘を玄関に広げて、ドライヤーを持ってきてボワーッと傘に当てる。



「茉乃ー?」



わたしを呼ぶお母さんの声。



「ちょっと茉乃なにしてるの。着替えもしないで。傘なんて乾かしてないで、自分の髪とか乾かしなさい」



そう言ってリビングに戻ろうとしたお母さんをわたしは一旦ドライヤーを止めてお母さんを呼び止める。



「ねぇお母さん聞いて〜!」


「なによ、どうしたの」



足を止めたお母さんにわたしはニヤニヤが止まらない。



「ふふふふふこれね、わたしの好きな人が貸してくれた傘なのおーー!!!」



興奮気味にそう言うとお母さんもニヤニヤしだして、



「え、なにその話。詳しく聞かせて」



もう興味深々。