そうして委員長さんと話しながら昇降口に向かう。



「わたし、相原茉乃!
委員長さんの名前も教えてもらってもいい?ごめん、委員長さんなのに名前も知らなくて…」


「あ、桜庭琴(さくらばこと)です。
わたし目立つ方じゃないし、ほんと、存在感ないっていうか…空気みたいな感じだから…」



怒ることもなく、嫌な顔ひとつせず名前を教えてくれて、むしろわたしが謝ったことに対して首をぶんぶん横に振る琴ちゃん。



「え…空気なんて思ったことないよ?」



わたしが当たり前のことのようにそう言うと、すごく驚いた顔をする。



「だっていつも委員会でみんなの意見とかまとめててすごいじゃん!今もこうやって声かけてくれてるし」



わたしがそう言っても琴ちゃんは下を向いて



「たまたま委員長になっちゃって、まとめるのも上手くできなくて、なんか、申し訳ないっていうか…」


「そんなことないよ!わたしがもし委員長とかになってたら、多分もっと滅茶苦茶だよ!?自分では思わなくても、はたから見たらすごいことだよ!」



そう言うと琴ちゃんは少し寂しそうな顔をして、ありがとうと呟いた。