そんなこんなで始まった体育祭。


開会式、応援団だからわたしはクラスの先頭に立っている。もちろん隣には利世もいる。



「お前今日やる気満々な」


「そうだよ?真悠くんとお昼一緒に食べるの!」


「…あっそ」



真悠くんと同じ組だから、真悠くんのことを堂々と応援できる立場だし尚更力が入る。
応援も、もちろん競技も頑張るんだ!



「茉乃、それ」



利世が自分の頭をトントンと指さしている。



「それ?」


「髪」



利世がそれと言って頭を指したのは髪のことだったらしい。



「自分でやったの?」


「そうだよ!可愛い?」


「うん。馬子にも衣装だな」


「ちょっと!ひどいよもう!」


「冗談だよ」



利世はからかったように言うけど、わたしが言う前に髪型について触れてくれたことは純粋に嬉しいなと思う。



「真悠くんだったら馬子にも衣装って言われても嬉しいのかもな〜」


「はぁ?」


「ありがとね利世!ちょっとムカつくけど、髪型に触れてくれたことに関しては嬉しい!」



わたしがそう言うと、利世は目線だけこっちを見て、



「気合い入れすぎて空回んなよ」



とまた意地悪なことを言って前を向いてしまった。