「え…?」


「あれはすきになっちゃうよ〜!かっこよすぎる真悠くんが悪い!」



琴ちゃんは驚いた表情でわたしを見ていた。


驚くことなんてないのに。


そりゃ、ショックじゃないって言ったら嘘になる。友達とは別の人を好きになって、お互いの恋を心から応援する方がいい。


でも先に好きになった方が偉いとか、後に好きになったらずるいとか、そんなのはないんだから、琴ちゃんがそんなに震える必要なんてない。



「それで琴ちゃんと仲良くできなくなったりすることはないし、琴ちゃんも良ければわたしはこれからも仲良くしていきたい」



琴ちゃんは驚いた表情のまま瞬きもせずにわたしの目を見つめていた。



「でも真悠くんを諦めたりできないから、2人とも真悠くんのことが好きってことで!どっちが上手くいっても上手くいかなくても恨みっこなしにしよ!」



わたしがそう言うと琴ちゃんはやっと緊張していた表情を少しずつ解して、いつも通り柔らかく笑った。



「わかった!」



その笑顔が相変わらず可愛くて、そして前よりも明るい笑顔だった気がした。