待ってくれ。わたしにはあんなに適当に返事をしたくせに、琴ちゃんには丁寧な返事だ。
なんだこの差は。歴然だ。
「俺代わりに資料室行きますよ、毎回桜庭先輩が行ってくれてるし」
「借りた先生にもそのままお礼を言いたいし大丈夫。一応…委員長だし」
「でも…」
「茉乃ちゃんとも話したいから。気遣ってくれてありがとう、成瀬くん」
琴ちゃんがそう言うと、真悠くんも分かりましたと言ってまた図書準備室に戻っていった。
「委員長って立場もあるかもだけど、たまには本当に頼ってもいいと思うよ?全然参加できてないわたしが言うのもなんなんだけどさ…」
わたしがそう言うと、琴ちゃんは少し考え込んだように言葉を詰まらせて、その後立ち止まってわたしを見て言った。
「茉乃ちゃんと話したいって言ったのは、もちろん仲良く話したいっていうのもあるんだけど…」
「うん、嬉しいよ?」
「それとは別に、茉乃ちゃんに話したいことがあるの」
琴ちゃんは少し不安そうに、でもわたしの目をじっと見つめてそう言った。
何か悩んでいることがあるのかな?相談とか?
琴ちゃんの様子を見ると楽しい話というよりは真剣な話のような気がする。
「なんでも言って!ちゃんと聞くよ!」
そう言うと、琴ちゃんは俯いて少し考えた後、また顔を上げて言った。