「おらっ!」



ゴキンッ



と音がして、風の体にハンマーがあたった。



きっと今のは骨が折れた音だ。



じわじわと風の服が赤くなっていく。









今戦っているのは私たちの敵の“ヤツ”だけど、外見は風だからすごく複雑な気持ちで、苦しくなった。



でも、私よりも優人の方がもっと苦しいだろう。



少しでも優人の支えになりたかった。



「優人、頑張れ!」



恐怖で声が震え、しかも涙声になりながらだったけど、精一杯大きな声で叫んだ。










すると、優人が「ぐあっ…!」といって少し動きが止まった。



「優人っ?!」



見ると、右足の太ももから血が流れていた。



すごく痛そうだ。



「優人!!」



もう私は名前を呼ぶことしか出来なかった。