走ろうと思った瞬間、腕に痛みがはしったのだ。
「痛いっ…!」
腕を見ると、二の腕あたりがざっくりと傷が入り、血がダラダラと流れている。
お母さんの持っている包丁は赤くなっていた。
「うぅ…」
ここでうずくまってはいけない、と思った。
死ぬよりもこの痛みを我慢して逃げた方が断然マシだ。
私はとにかく走った。
私は走るのは得意だから、逃げ切れるかもしれない、と希望が見えた。
しかし、その希望はまたたく間にうち消される。
着いたのはお風呂場。
行き止まりだった。
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