滉に観覧車は最後に乗るのが醍醐味だと言われたが、二回乗ろうと誘った。

観覧車は静かな丸い狭い空間。

滉は地上から離れる様子を食い入るように見ていた。



「 やっぱり観覧車はいいよな~ 女が好む乗り物だけど、最高だね 」

「 滉君は何でも楽しむよね 」

「 ……生きてる間はジジィになっても楽しむよ 」



あ…… そうだった。

私バカだ。

滉君の家族はもう……



「 滉君ごめ…… 」

「 写真! 撮ろっ 碧斗をヤキモキさせてやろうぜ 」



え、碧斗を?



滉はスマホ片手に私の横へ座る。

お尻が冷たいと言いながら、私の肩を抱き寄り添った。

笑って、そう言われても碧斗に送るとなると顔が引きつってしまう。



「 固いよ伊織ちゃん、柔か~くね 」

「 難しいよ、だって見るの碧斗だよ?怖すぎるもん 」

「 まぁ、確かにな。じゃあ… 碧斗が撮ってると思って 」




碧斗が…… 私を撮る?

きっと笑えよって、言うんだよね。



「 撮るよ 」



碧斗、私、楽しんでる……



小さなシャッターオンとほぼ同時に、私の頬に触れる何かを感じた。

そして触れた何かに顔を向けると、滉のニカッとした笑みを見た。

瞬間、わかった。



「 滉君、私に…… した?」

「 した、バッチリ撮れた!で、送る~っと 」



えーっ!!