父と母はテレビで見た話や、友人の話で弾んでいる。
私と碧斗は、ただ黙々と食べるだけ。
「 伊織、碧斗君聞いてくれる? 私達ね、式を挙げたいの、この四人だけで 」
碧斗は父に聞いて知っていたが、私は……
「 式って、どうして?」
「 伊織がドレス着てたの見てて、私もねまだ着たことがないから… 着たいと思って 」
お母さんが、ウェディングドレスを?
そんな……
私は素直に喜ぶべきだった。
でもそれは、碧斗と本当に家族だと目に焼きついてしまう。
女としての気持ちはわかるつもりだが、それを娘として、碧斗を好きな私は喜べなかった。
「 伊織、賛成してくれる? いい年なんだけど、せめてと思って 」
どう答えたら……
「 残りの人生を辰巳さんといる証を残したいって思ったの、伊織が賛成してくれないならやめるわ 」
ずるい……
お母さん、ずるいよ。