何が楽しいのか、碧斗が邪魔をする。

歯磨きしても碧斗は腕を離さない。


お願いだから離してと言っても無理を言うだけの碧斗に呆れる。



「 仕事行く前に会うとは羨ましいね 」

「 いいでしょ、モーニングするだけだし 」



あー、もう離れないっ



「 俺の朝飯はないのにな 」

「 それは…… また今度で。ねぇ離してよ、化粧もしないと 」



時間が~



「 送って、って言えば?俺がいるんだし 」



あ、そっか。

でもなんか… 碧斗だけに何かありそうな……



「 あと20分、チクタク… チクタク… 早く言わないと 」

「 わかった! 送って、碧斗 」

「 じゃ キス 」

「 え、んーっ…… 」



ほら、やっぱり~!!



時間がないのに、碧斗にしてやられる。

参った、だがそれどころではない。

利香を待たせている。

今頃、イライラしているかもしれない。



なんとか8時5分にはスウェット姿の碧斗とマンションを出た。