碧斗はバイト中のため、待たず帰ろうとラインだけして裏口から出た。

空からは冷たい空気に合せ小雨がパラパラと降っていた。

傘はないため、急ぎ足でバス停に。

運良くギリギリ間に合ったバスに乗り、自宅へ帰る。


部屋でお茶を温めて飲み落ち着く。

碧斗が帰ればわかるようにリビングで毛布にくるまり待つが、冷えた体が温まり眠くなりいつしか眠ってしまう。



午前、2時。

碧斗が帰宅し、眠る伊織の顔を毛布の隙間から覗き見る。




「 勝手に帰りやがって…… 危ないっつの 」



碧斗は伊織を起こさないよう先にシャワーを済ませ、毛布ごと伊織を抱き上げた。

そのまま自分の部屋へ連れていき寝かせる。

伊織の隣に横になり、腕を下へ通して碧斗は見つめる。


伊織の額に優しくキスし、大事に守るように眠る。



朝、6時にスマホのアラームが遠くで鳴っている。

毎日の習慣から目覚めると、視界に写ったのは碧斗の首もと。



なんで碧斗?

あれ、私なんで碧斗と?


いつの間に… こんな風になったの?

でもあったかいなぁ、気持ちいい。

あ、喉仏だ。

押したらへこむ? そんなわけないか。

触ってもいいかな……



そう…っと、指を喉仏に触れさせた。


本物だ!