記憶を辿れば見たことあるアイスに、嬉しくなった。
以前は碧斗を毛嫌いしていたため、胃の具合も良くなく食べられなかった。
「 これ、崩すのもったいないね 」
写真を撮りながら言うと碧斗が……
「 このアイスは特別、俺がチョコでコーティングしたし、ハートのチョコを乗せたのも……
彩膳のサービスにあるデザートはシャーベット、俺が伊織に対しての気持ちだった。
親父がいきなり再婚するって言い出して、顔合わせに出ろって…… 」
そう、だったんだ……
なのに、私食べられなかった……
「 いい大人なんだから勝手にやれよって思ってた、なのに書店で見た女が席にいてビビった。2度と会えないと思ってたから…… 」
書店で? 私と、同じ!?
じゃあ、あの一瞬を碧斗は覚えてたの?
私を見て気づいてくれてたの?
「 また会いたいと思った女が妹って、ふざけんなって思った。だから、気に入らなかった、いい子になろうとする伊織が……
でもやっぱ好きなんだよな、伊織の事。
アイスは伊織に対してよろしくって意味、ハートは俺の気持ちを込めた、わかんねぇよな 」
碧斗……
「 碧斗っ… ごめんね、あの時アイス食べられなかった…… ほんとにごめんねっ 」
「 伊織、あんま強く抱きしめんな 」
「 やだぁ、抱きしめたいの!」
「 ちょ、伊織っ 恥ずかしいからやめろ!」
「 やだって言ってるでしょ、私うれしいから、だからっ 碧斗を抱きたいの!」
離れない私に碧斗は耳に小さく言った。
“その言葉、忘れんなよ”
そう言って店内へ戻っていく碧斗。
何の言葉を忘れるな? んん?
私は気づいてなかった、自分が言った言葉を間違えて口にした事を……