店、彩膳に入ると目の前で驚きを隠せない私がいた。
碧斗は私だとわかるのに、微動だにせず店員そのもの。
その姿の碧斗に見惚れる自分を罰したい気持ちだった。
「 2名様ですね、お席にご案内致します 」
生唾呑みこみ、あくまで知らないフリ。
客である私と店員である碧斗。
それだけの二人。
「 お客様の席の担当をする木崎です、ご注文はこちらのタブレットにてお願いします 」
まるで別人。
憎らしさが微塵もない、碧斗に驚く。
「 ねぇ伊織、今のパーフェクトじゃん!いいよ、かなり!」
「 菜月… その現実砕くけどごめん、あの木崎って店員は私と家族になる奴だよ、話したでしょ 」
「 え… ええっ!! やだ、やだやだ、やめてよ~ だってほんとに? 話と全然違うじゃん、イケてるしさ、だって… 嘘でしょ 」
「 これが現実だからね、菜月。私の一目惚れの彼が実は悪魔みたいな奴だなんて……
夢なら良かったけど 」
まさかこの居酒屋にいるとは……
なんて不運なの、私は~
また、チクリと微かな痛みのようなものを感じた。
気にせず注文するが、なるべくなら一度に頼み碧斗が来るのを避けた。
それから2時間の間に菜月はイケメンが内面までいい奴かどうか考え話していた。