「 すみません、薬剤師の人いますか?頭痛薬欲しいんですけど 」
「 はい、少しお待ちください 」
レジを菜月に任せ、薬剤師の井上さんを呼びに行き、お客様に案内する。
またレジに戻り、仕事をする。
午前10時から午後5時まで勤務。
昼間の時間はいいが、3時を過ぎると落ち着かない。
なぜなら帰らなくてはいけないから。
「 菜月、ご飯行かない?」
「 ご飯か、いいよ~ 店、私が決める!行きたい店あるんだ 」
「 わかった、任せる 」
やった、寄り道して帰るよりマシ!
良かったぁ…
まっすぐ帰る楽しみはない、嫌な空気を相手には息が詰まる。
菜月がいてくれて良かったと思う。
そして、バイトが終わり菜月は友達から聞いて行きたいと思っていた居酒屋へ行こうと。
創作料理を出す居酒屋で、冊子に大きく記載されたため今人気の居酒屋だという。
「 彩膳(さいぜん)って居酒屋だよ、店員は男女ともに厳しい面接クリアしたイケメン美女ばかりで、規則もすごいの!
店員同士の恋愛禁止で発覚したらクビなんだって、だからお客がゲットしたくて血走るらしいよ 」
「 え~ すごいね。純粋に仕事しろって事だよね、それにイケメン美女が揃ってても、人それぞれ好みがあるんだし、絶対的ではないでしょ 」
そう言って大したことはないと思っていたのは私だけ。
なぜなら、行ってわかったから。
私の知らない碧斗が、いた。