「あ、送ろうか?」


「いえ、すぐそこなので大丈夫です。」


「そっか。気をつけてね?」


「はい。おやすみなさい、時雨さん、兄貴。」


『「おやすみ」』




パタンと音を立てて出ていく涙を横目に書類を片付ける。

そして、ふと思い出した事を時雨に問いかけた。




『なぁ。』


「んー?」


『坂井眞佳って知ってるか?』


「坂井眞佳……確か2Aの生徒だね。」




それがどうしたの?と聞いてくる時雨。

さすが、学園全員の名前やクラス、書面で提出されてる生徒情報を全て覚えてるというのは伊達じゃないらしい。




『いや、涙が避けられてるみたいと言ってたからな。』


「肩書きとか気にしない子なんじゃないの?
書面では普通の生徒だよ?」


『けど、面白くねぇか?
俺や涙は鳳の人間なんだぜ?』



国魔校 第二だからといっても理事長である親父はSSのランクを持つ。

しかもこの世界では学園の教師や学園長ななることは名誉あること。

もちろん、魔物討伐部隊に入るのも名誉あるんだけど。

だから、気に入られておけば損はないし媚を売るのが当たり前だったりする。