少し考え込んでしまった。

制服を整え、リビングへ向かう。

「兄ちゃん、どうかしたの?遅かったけど」

一見心配してくれているような、言葉だが、
イントネーションといい、声の強さといい、
全く心配している風ではなかった。

むしろ、早く食って食器を下げろと怒っている雰囲気だった。

「いや、別にー、ただ眠かっただけだ」

席に座り、気だるげに言う。
特に言う必要もないだろうしな。

「兄ちゃんさ、最近痩せた?」

唐突に何を言い出すんだろう。
特に何もしてないし、痩せた自覚も無いんだが。

「そうか?最近体重も測ってないし分からん」

「ふーん」とまるで興味なさげに秋優は答えた。

なんなんださっきから。
唐突に聞いてきたと思ったら、興味なさげだ。

まぁ、いいや。
とりあえず、飯を食おう。腹が減った。

「いただきます」

箸を持ち、弟の作ってくれた朝食をありがたく頂く。

「なんで毎回毎回、いただきますって言うの?」

そりゃ、食材への感謝の気持ちだろ。
とかなんとか言おうと思ったがそんな理由じゃない。

「忘れたのか?母さんがいつも言ってただろ?
お前、いただきますって言わないから、いつも叱られてたくせに」

少しバカにして言う。

「そんな、昔の話もう忘れたよ」

秋優も少し笑いながら答える。

ふと、時間を見ると家を出る10分前だった。

「やっべぇ!!」

1人焦りながら飯を急いで食おうとした。

だがその時、なんだか箸を持つ手に違和感を感じた。
箸が持ちにくいのだ。

最近バイトばっかで疲れてんのか?

まぁ、いい。
とりあえず、飯を食い終わることに専念する。