これじゃ、どっちが兄でどっちが弟か分かんねぇな。

自分でも自分に呆れながら、学校に行く準備を始める。

元々母子家庭で、弟は周りの同年代の子と比べたらしっかりしてる子だったとは思う。

だけど秋優(しゅうや)は、今ほど、しっかりしているわけでもなかった。

母さんは俺たち2人を養うために、凄く頑張ってくれていた。
いつも働き詰めで夜勤とかはしょっちゅうで、そんな時俺と秋優は、夜を2人きりで過ごした。

幼心に寂しい気持ちも、もちろんあった。
だけど、俺がしっかりしなきゃって、
ずっと俺が親父代わりだったのにな。

よくよく思い返してみれば、
秋優があんなにもしっかり者になったのは、
母さんが死んでからだった。
過労死だった。

その時、俺は13歳、弟は8歳だった。
弟は生まれてから、10年足らずで母親と死別したのだ。

凄く悲しかっただろうし、寂しい思いもしてきたはずだ。
だけど、弟は葬式でも泣かなかった。

それから、4年経ったが1度も弟が泣いている姿は見たことが無い。
ずっと笑顔だ。

なにが弟をそこまで、支えているのか
俺には検討もつかなかった。