今日も不快な音が鳴り響く。
まるで、目覚まし時計が早く起きろと嘲笑っているかのようだ。

…うるさい。
まだ、このふわふわした居心地の良い感覚を手放したくないんだ。
そう思い、目覚まし時計を止めようと手をかけたときだった。

いつも置いてある所に、目覚まし時計が置いていなかったのだ。

仕方なく、そのうるさい元凶を探すため、
体を起こす。

「探しものは、これ?兄ちゃん」

ふと話しかけられた方を見ると、
弟がベッドの横に立っていた。
あの忌々しい目覚まし時計を持って。

「ああ、それだ。
てか、なんで俺の部屋で目覚まし時計持ってんの?」

なにか地雷を踏んでしまったようだ。
弟は怖い顔をした。

「今日は、どっちが朝食当番が知ってる?」
怖い顔をしたまま、弟は尋ねてきた。

弟の顔を見れば一目瞭然だ。
言わずもがな、弟の顔は俺だと言っているようなもんだ。

「ああ、ごめん。すぐ起きる」

「僕がもう作ったから、兄ちゃんも早く学校の準備して朝ごはん食べなよ」

「おう…さんきゅ」

「全く…」と呆れた声で呟きながら、
弟は部屋を出ていき、リビングへ向かった。