「じゃあ私行きますね。
ありがとうございました」
カバンを肩にかけて保健室を出ていこうとすると、
「またおいでよ」
そう呼び止められる。
「私、お兄ちゃんになるべく会わないようにって言われたんです」
「お兄ちゃん、ねぇ?」
「…はい」
「妹止まりだったんだ」
「それは……」
仕方ないよ。
だってやっぱりお兄ちゃんにとって私は妹なんだから。
「聞きたくない?
晶のひ、み、つ」
「お兄ちゃんの?」
「そう。お兄ちゃんの」
お兄ちゃんの…秘密。
知りたい。
知りたいよ。
でもそんなのしていいの?
「言わなきゃわかんないよ」
「秘密…」
「ゆずちゃんが知らないお兄ちゃんだよ」
「………知りたい」
「じゃあ放課後においで」
「今じゃないんですか」
「んー今だと時間が足りないかな」
「そうですか…」
「放課後、ね」
「はい」
もう一度礼をして保健室を後にする。