「ゆーずちゃん」
「え…」
ひらひらと手を振る先生。
何でこんな…朝早い教室にいるの。
「いやぁこんな早起き久しぶりにしたよ。
本当に優等生だったんだね」
何しに来たの?
生徒なんかほとんど来てないし、先生も少ない時間帯なのに。
「よいしょっと…」
「何してるんですか?」
「え、ゆずちゃんが勉強してるの見とこうかなって」
私の前の席に腰掛けて後ろを向いてくる。
…恐ろしく勉強に集中できない。
「…はぁ」
「え、どうしたの」
「集中できない。
保健室に行ったらどうですか」
実を言うと、あまり関わりたくない。
不誠実すぎる。
そういうのは…好まない。
頼むから一人にしてくれ…
不意に目に入る"柏崎 倫哉(かしわざき ともや)"と書かれた名札。
"倫"
……どこか縁起が悪いように捉えてしまう。
この人の行動を見てしまったから尚更なんだろうけど…
それに男の人にしては珍しい長めの髪で、明るい茶色だから…
余計チャラく感じてしまう。