だから、嘘でも出ていくなんて言わないで…




夜、自分のベッドに横になるけどなんだか寝付けなくて…


リビングにお水でも飲みに行こうかと起き上がる。



珍しくついている灯り。





「…〜、〜」





誰かの話し声。



お母さんとお兄ちゃんであることは明らかだけど…


どうして私が寝た後なんかに、こんなこっそりと話すことがあるんだろう?



ドアの前で少し立ちすくむ。




ドア1枚を挟んでいるだけなのに、


このドアを開ければいいだけなのに、



どうにも動き出せなくて聞き耳を立ててしまう。





「…には……にお世話……ました」





お兄ちゃんの声が聞こえる。



ところどころ聞き取れないけど…




気付かれないよう少しだけドアを開ける。


音を立てないようにゆっくり。