だけどひとつ朝と違うのは、先輩の唇が、どことなく優しかった。
優しくて、とろけちゃいそうな。
慣れていなくて恥ずかしいはずなのに、やっと触れられたこの温もりを、もっと感じていたいとも思った。
唇が離れ、私は一気に空気を吸い込む。
「ははっ。息止めてたの?」
「ど、どうやって息していいか……。」
「うん。かわいい。」
意味わかんないんだけど。
「ああー!今“意味わかんない”とか思ったでしょ!」
「おお。正解です。」
「はぁ〜。もういつものさらちゃんに戻っちゃった。さっきまでは“先輩っ、好きですっ。”なんて言ってたくせ───」
「わーーーー!!!!」
私の人生初告白を復唱するな!!
先輩はニヤッと意地悪な顔をして、
「もっかい聞きたいなー。顔を真っ赤にしながら俯いて言ってたあの告白。今まで受けてきた告白より断然かわいい。」
「さっきからかわいいかわいい言わないでください。」
とかいいながら嬉しいんだけどね。
そして地味に“今まで受けてきた告白”で傷ついたんだけどね。