そんなこと言ってももう遅い。
インターホンから声がしなくなったと思ったら、玄関のドアから先輩の顔がひょこっと出てきた。
そんな仕草もかわいいと思ってしまう私は、相当先輩に惚れ込んでるんだな。
「中……入んな。」
「いや、外で大丈夫ですよ…?」
「…外寒いでしょ。いいから入って。」
玄関から出てきたと思ったら、先輩は私の腕を掴んで強引に玄関の中に引き入れた。
バタンッとドアが閉まる音がする。
「あ、あの…もう7月ですけど……。」
「でも寒いよね。」
「いや、私は暑いかなって──」
「今日は寒いよ。」
表情を変えることなく淡々と話す先輩は、どこかかっこいい。